説明

疼痛、炎症および軟骨分解の抑制のための溶液および方法

【課題】関節鏡検査手順を含む一般的な外科的手順からの創傷における種々の疼痛および炎症のプロセスを阻害するため、ならびに軟骨分解を阻害するための方法および溶液を提供する。
【解決手段】溶液は、好ましくは、生理学的キャリア(例えば、生理食塩水または乳酸加リンガー溶液)中の希釈濃度で、多発性の疼痛および炎症の阻害性を有する。この溶液は、疼痛を先制阻害し、そして一方で大用量の薬剤の経口、筋内、皮下または静脈内適用に関連する所望でない副作用を回避するために、外科的手順の間、創傷の連続的な洗浄により適用され得る。また、この溶液は、軟骨分解インヒビターと共に、関節に直接注射され得る。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬を製造する方法であって、該医薬は、治療有効量の第1の軟骨保護剤および治療有効量の第2の軟骨保護剤を含む溶液を含み、ここで該第1の軟骨保護剤は、同化性軟骨保護剤であり、そして該第2の軟骨保護剤は、軟骨異化作用のインヒビターであって、そして該溶液は、患者の関節に局所的に送達されて、そして該関節における軟骨分解を阻害する際に有効である、方法。
【請求項2】
医薬を製造する方法であって、該医薬は、液体キャリア中に、治療有効量の少なくとも1つの同化性軟骨保護剤および疼痛または炎症のインヒビターである少なくとも1つの異なる薬剤を含む溶液を含み、ここで該溶液は、患者の関節に局所的に送達されて、そして該関節における軟骨分解を阻害する際に有効である、方法。
【請求項3】
医薬を製造する方法であって、該医薬は、治療有効量の第1の軟骨保護剤ならびに第2の軟骨保護剤、疼痛のインヒビター、炎症のインヒビターおよびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの治療有効量の第2の薬剤を含む溶液を含み、ここで該溶液は、患者の関節に対する外傷後の急性期内に該関節に局所的に送達されて、そして該関節における軟骨分解を阻害する際に有効である、方法。
【請求項4】
前記溶液が、外科的手順の間の手術中に前記関節へ送達される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
外科的手順の間に前記溶液で前記関節を灌注する工程を包含する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記手順が、関節鏡検査外科的手順であり、そして前記溶液が該外科的手順の前、その間またはその後に前記関節へ送達される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記手順が、関節鏡検査外科的手順であり、そして前記溶液が、該外科的手順の前、その間およびその後に前記関節へ送達される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記溶液のボーラスが、前記外科的手順の後の患者の前記関節中にとどまるように、十分な量の該溶液が、該外科的手順の後に該関節に送達される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記溶液が、関節内注射によって前記関節に送達される、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項10】
前記溶液が、徐放性送達ビヒクルを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記徐放性送達ビヒクルが、ミクロ粒子、ミクロスフェア、ナノ粒子、タンパク質、リポソーム、炭水化物、合成有機化合物および無機化合物からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶液が、注入によって前記関節に送達される、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項13】
前記溶液が、調節されたポンプ送達システムによって前記関節に送達される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶液が、慢性軟骨変性状態の処置のために前記関節に送達される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
前記溶液が、前記関節における予期された組織損傷の前に前記関節に送達される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項16】
前記溶液が、前記関節に対する損傷の時にか、または傷害の後すぐに前記関節に送達される、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項17】
前記溶液が、前記関節に対する傷害の後の急性期内に該関節に送達される、請求項1または2の方法。
【請求項18】
前記溶液が、手術の後の急性期の間に送達される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記溶液が、前記関節に対する傷害後の4週間以内に該関節に送達される、請求項17または3に記載の方法。
【請求項20】
前記溶液が、前記関節に対する傷害後の亜急性期内に該関節に送達される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項21】
前記溶液が、前記関節に対する傷害後の慢性期内に該関節に送達される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項22】
前記軟骨保護剤が、軟骨同化性プロセスを促進するインターロイキン(IL)アゴニスト、軟骨同化性プロセスを促進するトランスホーミング増殖因子βスーパーファミリーのメンバー、軟骨同化性プロセスを促進するインスリン様増殖因子および軟骨同化性プロセスを促進する線維芽細胞増殖因子からなる群より選択される同化性軟骨保護剤であり、ここで該トランスホーミング増殖因子βスーパーファミリーのメンバーは、TGF−βアゴニストおよび骨形成タンパク質アンタゴニストを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項23】
前記同化性軟骨保護剤が、軟骨同化性プロセスを促進するインターロイキン(IL)アゴニスト、軟骨同化性プロセスを促進するトランスホーミング増殖因子βスーパーファミリーのメンバー、軟骨同化性プロセスを促進するインスリン様増殖因子ならびに軟骨同化性プロセスを促進する線維芽細胞増殖因子からなる群より選択され、ここで該トランスホーミング増殖因子βスーパーファミリーのメンバーは、TGF−βアゴニストおよび骨形成タンパク質アゴニストを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項24】
前記同化性軟骨保護剤が、IL−4、IL−10、IL−13、TGFβ1、TGFβ2、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、IGF−1、bFGFならびに天然に存在する薬剤の生物学的特徴を保持するフラグメント、欠失体、付加体、アミノ酸置換体、変異体および改変体からなる群より選択される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記軟骨保護剤が、軟骨異化を阻害するIL−1レセプターアンタゴニスト、軟骨異化を阻害するTNF−αレセプターアンタゴニスト、軟骨異化を阻害するシクロオキシゲナーゼ2特異的インヒビター、軟骨異化を阻害するMAPキナーゼインヒビター、軟骨異化を阻害する一酸化窒素シンターゼインヒビター、および軟骨異化を阻害する核因子kBインヒビターからなる群より選択される軟骨異化のインヒビターである、請求項3に記載の方法。
【請求項26】
軟骨異化の前記インヒビターが、軟骨異化を阻害するIL−1レセプターアンタゴニスト、軟骨異化を阻害するTNF−αレセプターアンタゴニスト、軟骨異化を阻害するシクロオキシゲナーゼ2特異的インヒビター、軟骨異化を阻害するMAPキナーゼインヒビター、軟骨異化を阻害する一酸化窒素シンターゼインヒビター、および軟骨異化を阻害する核因子kBインヒビターからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記軟骨保護剤が、軟骨異化を阻害するマトリックスメタロプロテイナーゼのインヒビター、軟骨異化を阻害する細胞接着分子、軟骨異化を阻害する抗走化性剤、軟骨異化を阻害する細胞内シグナル伝達インヒビター、軟骨異化を阻害する細胞内プロテインチロシンホスファターゼのモジュレーター、ならびに軟骨異化を阻害するSH2ドメインのインヒビターからなる群より選択される軟骨異化のインヒビターであり、ここで該細胞接着分子は、インテグリンアゴニストおよびインテグリンアンタゴニストを含み、該細胞内シグナル伝達インヒビターは、プロテインキナーゼCインヒビターおよびプロテインチロシンキナーゼインヒビターを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項28】
前記軟骨異化のインヒビターが、軟骨異化を阻害するマトリックスメタロプロテイナーゼのインヒビター、軟骨異化を阻害する細胞接着分子、軟骨異化を阻害する抗走化性剤、軟骨異化を阻害する細胞内シグナル伝達インヒビター、軟骨異化を阻害する細胞内プロテインチロシンホスファターゼのモジュレーター、ならびに軟骨異化を阻害するSH2ドメインのインヒビターからなる群より選択され、ここで該細胞接着分子は、インテグリンアゴニストおよびインテグリンアンタゴニストを含み、該細胞内シグナル伝達インヒビターは、プロテインキナーゼCインヒビターおよびプロテインチロシンキナーゼインヒビターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記軟骨保護剤が、軟骨異化を阻害する可溶性レセプターを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項30】
軟骨異化の前記インヒビターが、軟骨代謝を阻害する可溶性レセプターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記可溶性レセプターが、可溶性インターロイキン−1レセプターおよび可溶性腫瘍壊死因子レセプターからなる群より選択される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記可溶性レセプターが、組み換え可溶性ヒトIL−1レセプター、可溶性腫瘍壊死因子レセプターおよびキメラrhTNFR:Fcからなる群より選択される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項33】
前記溶液が、1以上の疼痛阻害剤または炎症阻害剤をさらに含む、請求項1または3に記載の方法。
【請求項34】
前記疼痛阻害剤または炎症阻害剤が、セロトニンレセプターアンタゴニスト、セロトニンレセプターアゴニスト、ヒスタミンレセプターアンタゴニスト、ブラジキニンレセプターアンタゴニスト、カリクレインインヒビター、タキキニンレセプターアンタゴニスト、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)レセプターアンタゴニスト、インターロイキンレセプターアンタゴニスト、アラキドン酸代謝産物についての合成経路おいて活性な酵素のインヒビター、プロスタノイドレセプターアンタゴニスト、ロイコトリエンレセプターアンタゴニスト、オピオイドレセプターアゴニスト、プリノセプターアゴニストおよびアンタゴニスト、アデノシン三リン酸(ATP)感受性カリウムチャネルオープナー、ならびにカルシウムチャネルアンタゴニストからなる群より選択される、請求項2または33に記載の方法。
【請求項35】
前記溶液が、前記患者の関節に予防的に局所適用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項36】
前記溶液の手術中の送達が、該溶液の手順前送達または手順後送達と共に手順内送達を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項37】
前記溶液の手術中の送達が、該溶液の手順後送達と共に手順前送達を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項38】
前記溶液の手術中の適用が、該溶液の手順前適用、手順内適用、および手順後適用を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項39】
関節における軟骨分解の危険がある患者を確認し、続いて、前記溶液を該確認された患者の該関節に送達する工程をさらに包含する、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項40】
前記溶液中の前記薬剤の各々が、前記創傷に局所送達される場合に該創傷において阻害効果または治療効果のレベルをもたらすのに十分で、かつ全身的に送達される場合に該創傷において同じレベルの阻害効果または治療効果を達成することを必要とされる血漿濃度より低い血漿濃度を生じる濃度または投薬量にて含まれる、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項41】
軟骨分解の阻害の際に使用するための溶液であって、該溶液は、同化性軟骨保護剤である少なくとも1つの第1の軟骨保護剤および軟骨代謝のインヒビターである少なくとも1つの第2の軟骨保護剤を含み、ここで、各薬剤は、該溶液が、関節に局所的に送達される場合に、治療的に有効である投薬量または濃度にて該溶液中に含まれる、溶液。
【請求項42】
軟骨分解を阻害する際に使用するための溶液であって、該溶液は、少なくとも1つの同化性軟骨保護剤および疼痛または炎症のインヒビターである少なくとも1つの異なる薬剤を含み、ここで、各薬剤は、該溶液が、関節に局所的に送達される場合に、治療有効量である投薬量または濃度にて該溶液中に含まれる、溶液。
【請求項43】
前記同化性軟骨保護剤は、軟骨同化性プロセスを促進するインターロイキン(IL)アゴニスト、軟骨同化性プロセスを促進するトランスホーミング増殖因子βスーパーファミリーのメンバー、軟骨同化性プロセスを促進するインスリン様増殖因子ならびに軟骨同化性プロセスを促進する線維芽細胞増殖因子からなる群より選択され、ここで該トランスホーミング増殖因子βスーパーファミリーのメンバーは、TGF−βアゴニストおよび骨形成タンパク質アゴニストを含む、請求項41または42に記載の溶液。
【請求項44】
前記同化性軟骨保護剤は、IL−4、IL−10、IL−13、TGFβ1、TGFβ2、BMP−2、BMP−4、BMP−6、BMP−7、IGF−1、bFGFならびに天然に存在する薬剤の生物学的特徴を維持するフラグメント、欠失体、付加体、アミノ酸置換体、変異体および改変体からなる群より選択される、請求項43に記載の溶液。
【請求項45】
前記軟骨異化のインヒビターが、軟骨異化を阻害するIL−レセプターアンタゴニスト、軟骨異化を阻害するTNF−αレセプターアンタゴニスト、軟骨異化を阻害するシクロオキシゲナーゼ2特異的インヒビター、軟骨異化を阻害するMAPキナーゼインヒビター、軟骨異化を阻害する一酸化窒素シンターゼインヒビター、および軟骨異化を阻害する核因子kBインヒビターからなる群より選択される、請求項41に記載の溶液。
【請求項46】
前記軟骨異化のインヒビターが、軟骨異化を阻害するマトリックスメタロプロテイナーゼのインヒビター、軟骨異化を阻害する細胞接着分子、軟骨異化を阻害する抗走化性剤、軟骨異化を阻害する細胞内シグナル伝達インヒビター、軟骨異化を阻害する細胞内プロテインチロシンホスホターゼのモジュレーター、ならびに軟骨異化を阻害するSH2ドメインのインヒビターからなる群より選択され、ここで該細胞接着分子は、インテグリンアゴニストおよびインテグリンアンタゴニストを含み、該細胞内シグナル伝達インヒビターは、プロテインキナーゼCインヒビターおよびプロテインチロシンキナーゼインヒビターを含む、請求項41に記載の溶液。
【請求項47】
前記軟骨異化のインヒビターが、軟骨異化を阻害する可溶性レセプターを含む、請求項41に記載の溶液。
【請求項48】
前記可溶性レセプターが、可溶性インターロイキン−1レセプターおよび可溶性腫瘍壊死因子レセプターからなる群より選択される、請求項47に記載の溶液。
【請求項49】
前記可溶性レセプターが、組み換え可溶性ヒトIL−1レセプター、可溶性腫瘍壊死因子レセプターおよびキメラrhTNFR:Fcからなる群より選択される、請求項47に記載の溶液。
【請求項50】
前記溶液が、1以上の疼痛阻害剤または炎症阻害剤をさらに含む、請求項41に記載の溶液。
【請求項51】
前記疼痛阻害剤または炎症阻害剤が、セロトニンレセプターアンタゴニスト、セロトニンレセプターアゴニスト、ヒスタミンレセプターアンタゴニスト、ブラジキニンレセプターアンタゴニスト、カリクレインインヒビター、タキキニンレセプターアンタゴニスト、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)レセプターアンタゴニスト、インターロイキンレセプターアンタゴニスト、アラキドン酸代謝産物についての合成経路おいて活性な酵素のインヒビター、プロスタノイドレセプターアンタゴニスト、ロイコトリエンレセプターアンタゴニスト、オピオイドレセプターアゴニスト、プリノセプターアゴニストおよびアンタゴニスト、アデノシン三リン酸(ATP)感受性カリウムチャネルオープナー、ならびにカルシウムチャネルアンタゴニストからなる群より選択される、請求項42または50に記載の溶液。
【請求項52】
前記溶液が、徐放性送達ビヒクルを含む、請求項41または42に記載の溶液。
【請求項53】
前記徐放性ビヒクルが、ミクロ粒子、ミクロスフェア、ナノ粒子、タンパク質、リポソーム、炭水化物、合成有機化合物および無機化合物からなる群より選択される、請求項52に記載の溶液。
【請求項54】
前記溶液中の前記薬剤の各々が、前記創傷に局所送達される場合に該創傷において阻害効果または治療効果のレベルをもたらすのに十分で、かつ全身的に送達される場合に該創傷において同じレベルの阻害効果または治療効果を達成することを必要とされる血漿濃度より低い血漿濃度を生じる濃度または投薬量にて含まれる、請求項41または42に記載の溶液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−77165(P2007−77165A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304543(P2006−304543)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【分割の表示】特願2001−511950(P2001−511950)の分割
【原出願日】平成12年7月21日(2000.7.21)
【出願人】(502022025)オメロス コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】